千葉 逸人
だいたい酒飲んでるイメージの数学者
いまはとんぺーの教授
京都大学大学在学中にテキストを出版した
蔵本予想(=蔵本由紀。非線形科学が専門の物理学者)を数学的に証明した 蔵本先生が1975年に作ったのは、この同期現象についての方程式で、これを解けば同期現象のことが良くわかるようになるんです
――蔵本予想を解くのにどれくらいかかったんですか?
千葉 本格的に取り組み始めてからは3年ですが、基礎的なことの学習も含めたら10年くらいだと思います。未解決だったということは当時存在した数学ではうまくいかなかったということで、私自身が新しい理論をつくる必要がありました。
――10年間も問題を考え続けるんですか?
千葉 学生だったこともあって、生活のほぼすべての時間を数学に没入して過ごしていました。いまは教える側になったために事務的なことが増え、思考が中断されてしまいます。もし今同じ問題を解こうとすれば3倍から4倍の時間がかかると思いますね。
一般の方は、数学者って数式を使って仕事をしていると思っていますが、実は数式に落としこめている段階ってすでになんらかの答えが出ているときです。これは作曲と似ていて、作曲家が音符を書き始めたときにはもう曲が頭の中にありますよね。
まわりは私のことを才能があると思っているようですが、自分自身はまったく才能があるとは思っていません。というのも、小中高とクラスで1番の成績だったわけではないし、大学入試では浪人もしています。工学部だったので大学の1、2年生の時期は数学の専門的教育も受けていません。でも、数学が好きだから独学で勉強していたし、大学に入ってからは人の何倍も勉強したという自負はあります。
天才のようなひらめきは少なくとも僕にはありません。試行錯誤をずっと繰り返しているだけで、才能があるとしたらその試行錯誤に飽きないことかもしれません。